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資金援助各種のメリット等

 貸付金による資金援助

 メリット:

  • 贈与税が発生しない:

  貸付金は贈与税の対象外で、金額の多寡に関わらずその瞬間には一切の税金が発生しない。

  • 返済がある場合の優位性:

  貸した側の資金は減るが、同額の債権が残り、返済がある場合は元本が戻ってくる。

  • 遺産分割協議の対象:                                 貸していた方が亡くなり、未返済の部分が残った場合、これが亡くなった方にとっての債権(遺産)として相続税の対象となる。

デメリット:

  • 未返済部分の相続税対象:

 未返済の部分が相続税の対象となり、相続人にとっては負担となる可能性がある。

  • 金銭消費貸借契約書の作成が必要:

 貸付金を明確にするためには金銭消費貸借契約書を作成する必要があり、手続きが必要となる。

  • 利子の設定に留意:

 利息の設定がある場合、多額の貸付の場合は税理士に相談する必要があり、設定が難しい場合がある。

 

暦年課税贈与による資金援助メリット:

  • 非課税枠がある:

 1年間に贈与を受けた金額が110万円以下であれば、暦年課税贈与では贈与税がかからない。

  • 手続きが簡便:

 届出が不要であり手続が比較的簡便。

  • 時間的制約がない:

 何度でも行えるが、制約として同一の贈与を3年以内に相続税の足し戻し対象となる。

 

デメリット:

  • 贈与税の累進課税:

 贈与額が大きいほど、贈与税が累進課税され、負担が大きくなる。

  • 相続時足し戻しの注意:

 資金援助した方が亡くなった場合、亡くなられた日から遡って3年内の贈与は相続税申告時に相続財産への足し戻しが必要。

 

相続時精算課税贈与による資金援助メリット:

  • 非課税枠が広い:

 60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫に贈与する場合、累計2,500万円までは贈与税がかからない。

  • 相続税の控除:

 相続時に相続税精算課税制度の適用を受けた贈与財産の価額を相続財産の価額に加算して相続税を計算し、これまでに納めた贈与税額は相続税から控除される。

 

デメリット:

  • 届出が必要:

 制度を利用するためには届出が必要であり、手続きが必要。

  • 相続後の変更が難しい:

 一旦相続時精算課税を選択すると、その後の贈与については暦年課税に変更することができなくなり、基礎控除額の適用も受けられない。

 これらの手法を選択する際には、具体的な状況や目的、法的な要件を考慮して、税理士や専門家に相談することが重要です。