民事信託の設計と課税
1. 企業オーナーが後継者の息子に自社株を承継したが、息子が先に亡くなった場合:
設計の提案:
遺言代用信託を設定して、息子がオーナーの死亡時に受益者になるよう指定。
課税の回避:
遺言代用信託を使用することで、息子の死亡に伴う課税を回避できる。相続税はオーナーの死亡時に課税。
2. 資産を子に贈与し、孫がこれを相続した場合:
設計の提案:
受益権複層化信託を設定し、子に収益の受益権、孫に元本の受益権を指定。
課税の回避:
両受益権の評価額の合計が資産の評価額と等しいため、資産に対する課税は1回。
3. 自社株承継において、第一次相続人が妻、第二次相続人が子の場合:
設計の提案:
受益者連続型信託を設定し、オーナー死亡時に妻への受益権遺贈、妻死亡時に子への新たな受益権遺贈。
注意事項:
相続税法では後継ぎ遺贈ではなく、通常の相続と同様に課税。
4. まだ生まれていない孫に資産を贈与する場合:
設計の提案:
信託を設定し、受益者をこれから生まれてくる孫に指定。
課税の回避:
信託設定時に受益者に対して贈与税が課税され、孫の生誕時に孫に対して再び贈与税が課税。
5. 受託者等に信託給付の裁量が与えられている場合:
留意点:
福祉型信託等の場合、信託給付の評価は不確定。給付が行われた時点で受益者に課税。
税務処理:
受託者は信託財産に属する資産・負債を有し、所得税の申告納税を行う。
特記事項:
法律特例の活用:
中小企業の事業承継において、特例や法律の適用を活用することが検討される。
特に、生前贈与株式の評価額の固定や相続税・贈与税の納税猶予制度。
これらのケースにおいても、税務法規の変更や事例によっては変更がある可能性があるため、専門家と相談しながら信託の設計と課税の対策を進めることが重要です。
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