評価額が下がる理由は賃貸物件特有の「不便な性質」と関連
相続税の節税対策として、賃貸物件を建築することは、「相続税評価額を圧縮する」とされています。
これは、所有している土地に賃貸物件を建てることで、評価額が下がり、相続税も減少するという考え方です。
この評価額が下がる理由は、賃貸物件の特有の「不便な性質」に関連しています。
まず、注目すべきは「維持管理」です。
所有者はアパートやマンションに欠陥があれば修繕費用を負担し、空室が生じると家賃収入が減少するため、住民の募集が必要になります。
さらに、アパートの経営が困難になり、賃貸契約が更新できない場合、住人に立ち退きを求めることがあります。
この際、立退き費用が発生し、住人が応じない場合は裁判沙汰になる可能性も考えられます。
賃貸物件の土地は、更地と比べて管理やトラブルが発生するリスクが高まるため、評価額が低くなるとされています。
- 減額割合は「借地権割合」によって異なる
相続税評価額1億円の土地(更地)を持っている場合、賃貸物件を建てると評価額が15~20%減額されることがあります。
この減額割合は土地の所在地域の「借地権割合」によって異なります。たとえば、都心部では借地権割合が高く、地方では低いことが一般的です。
借地権割合が70%の場合、土地の評価は70%分減額されます。
また、賃貸物件の賃貸割合(入居率)によっても減額割合が変動します。空室が少ないほど減額幅が大きくなります。
例えば、1億円の土地に70%の借地権割合があり、賃貸割合が100%の場合、計算は1億円 × (1 - 0.7) × 1 = 7900万円となります。
- 賃貸物件建築のメリットは評価額の圧縮と家賃収入
賃貸物件の建築には、相続財産額が大幅に減額されるメリットがあります。
土地や建物の評価額が圧縮され、家賃による現金収入も得られます。
この現金収入は相続時の納税資金に充てることができます。
また、債務がある場合は、相続税の計算上、債務を遺産の総額から差し引くことができ、相続税額も下がります。
ただし、土地や建物の評価額が下がる一方で、賃貸物件経営にはリスクも存在します。
管理やトラブルへの対応が必要であり、収益が安定しない場合もあります。
賃貸物件建築を検討する際は、これらのリスクも検討する必要があります。
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