「利回り」の算出で業者が目をつぶる箇所とは…
アパートやマンションの建設には膨大な資金が必要であり、多くの場合、融資や借金をしてプロジェクトを進めることになります。
その際、業者が提示する「利回り」は、投資した金額に対する年間収益の割合を示しています。
高い利回りが示されるほど、元本に対する収益が大きく、投資家にとって魅力的に映ります。
ただし、業者が提示する利回りにはいくつかの注意点があります。
- 所得税や住民税が含まれていないこと:
多くの場合、業者が提示する利回りには所得税や住民税が含まれていません。
これらの税金は必ず発生するものであり、収益から差し引かれるため、実際の手元に残る金額は提示された利回りよりも低くなります。
- 家賃が一定であることが前提とされている点:
利回りの計算では、家賃が常に一定であることが前提とされています。
しかし、実際の賃貸市場では、築年数が経過するにつれて家賃が下がることが一般的です。
また、周囲の新築物件との競争により、家賃の引き下げを余儀なくされることもあります。
- 満室であることが前提とされている点:
利回りの計算では、常に満室であることが前提とされています。
しかし、実際には賃貸物件の空室率は変動し、満室を維持することが難しい場合もあります。
特に現在の日本では人口減少とともに賃貸需要が減少しており、空室が増加している地域も存在します。
これらの点に注意せずに業者が提示する利回りに魅力を感じ、情報を鵜呑みにすることは、投資家にとって大きなリスクとなり得ます。
実際の運営状況や市場の変化を踏まえ、冷静な判断が求められます。
業者の情報を鵜呑みにすると最悪、破産のリスクも
実際の事例として、業者が提示した利回りに基づいて賃貸物件を建設したものの、立地条件の悪さや競合物件の影響で入居者が集まらず、家賃収入が予想よりも低い場合があります。
また、税金や維持費用の影響も考慮されていないため、投資家が想定していた利益が得られず、借金の返済が難しくなることがあります。
経験した事例では、立地が不利で入居者が集まらないために予想された利回りが得られず、事業が困難な状態になりました。
業者が提示した収支計画書には所得税や住民税が含まれておらず、実際の収支とは乖離していました。
特に、賃貸市場が縮小している地域では、過剰な供給により空室率が高まり、利回りが低下する傾向があります。
業者から提供される情報は営業材料であり、事業を成功に導くためには冷静な検討が必要です。
自身の資金状況やリスク許容度を考慮し、業者の情報だけでなく、市場動向や将来の見通しも検討することが重要です。
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