「保佐人」とは、本人の判断能力が著しく不十分な状態にある際に、その本人の法律上の行為のうち一部について、同意権・取消権・代理権を有する者を指します。
1. 保佐開始の要件
保佐人が選任されるための要件は、本人が「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分」であることです(民法11条)。
裁判所は、支援を受けても契約等の内容を理解し判断することができない状態が続く場合に、保佐開始の要件を認めることがあります。
2. 保佐人の選任
保佐人は、家庭裁判所が職権で選任します。
選任の際には、本人の親族が選ばれることもありますが、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家も選任されることがあります。
保佐人には特別な資格が必要ないため、資格があるかどうかは選任の判断基準にはなりません。
3. 保佐人の権限
保佐人は、同意権、取消権、代理権の3つの権限を有します。
同意権とは、被保佐人が法律行為を行う際に、保佐人の同意を得る必要がある権限です。
取消権は、被保佐人が同意権を得ずに法律行為を行った場合に、保佐人がその法律行為を取り消す権限です。
代理権は、特定の法律行為において、被保佐人の代わりに行動する権限です。
4. 保佐人の権限行使の例
重要な契約の締結や取り消し
不動産の売買や賃貸契約の解除
財産に関する法律行為全般
5. 保佐人の業務終了
被保佐人の判断能力が回復した場合
保佐人が辞任した場合
保佐人が解任された場合
保佐人が行方不明になった場合
6. まとめ
保佐人は、判断能力が著しく不十分な状態の本人が法律行為を行う際にサポートをし、その権限を制限・管理する役割を果たします。
早めに保佐人を選任することで、本人の法的なトラブルや経済的搾取を防ぐことが期待されます。
保佐開始には家庭裁判所の審判が必要であり、選任には本人やその親族、専門家がなることがあります。
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