自己信託は、信託法において規定された一種の信託形態であり、その主な特徴や具体的な利用例です。
- 定義と特徴:
自己信託は、委託者が自ら受託者となり、他者(受益者)のために自己の財産を管理・処分する信託形態である。
通常の信託契約や遺言信託は他者を受託者として財産を委託する形態であるが、自己信託では委託者が同時に受託者となる。
- 信託の成立と要件:
自己信託を成立させるには、委託者が自分一人で特定の財産を信託財産とすることを宣言する必要がある。
効力が発生するためには公正証書等により作成された「自己信託設定公正証書」が必要であり、要件が厳格に定められている。
- 設定方法:
一般的には、自己信託を設定するには公証役場で「自己信託設定公正証書」を作成することが一般的である。
公正証書によらない方法として、指定された第三者に対して書面により信託内容を通知する方法も可能。
- 税務上の注意点:
自己信託においては、設定した時点で他者に財産が移転したと見なされ、税務上は“みなし贈与”として贈与税の課税対象になる。
財産の管理を継続しつつ、相続や贈与の税務上のメリットを享受するために、慎重な計画が必要。
- 具体的な利用例:
浪費癖のある子を受益者にするケースや、認知症により財産管理能力のない配偶者や障害を持つ子を受益者にするケースで自己信託が活用される。
財産の管理を委託しつつ、相続や贈与の計画を練るために利用される。
自己信託は、他者への財産管理や保護の一手段として、特に特定の事情がある場合に利用される信託形態です。
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