相続財産の評価において納税者が売却業者に一括して売却した価額を元に時点修正を試み、それに基づく更正請求が却下されたという事例があります。
裁判での争点や判決のポイントについて以下の要点が挙げられています:
- 評価基準の適用:
納税者は、国土交通省の公表地価の平均変動率を用いて相続時点の金額を逆算し、それをもとに相続税の更正請求を行いました。
しかし、裁判では買取業者による一括売却価格が時価ではないと判断されました。
- 特別の事情の認定:
納税者は、一括売却を行った背景や、個別に買取業者と交渉することが難しいとの主張を行いました。
しかし、裁判所は買取業者が他の地域の土地を低い価格で買い取り、また同じ土地を1年以内に個別に借地権者に高い価格で売却している点を指摘し、特別の事情が認められないと結論づけました。
- 特定多数の当事者間での自由な取引:
裁判所は、買取業者に��却した価格が通常の市場価格を下回っていると判断しました。
特に、同じ土地を借地権者に高い価格で売却していることから、特定多数の当事者間での自由な取引が行われなかったと判断されたと考えられます。
- 裁判事例の参考:
裁判所は、他の裁判事例においても特別の事情が認められた例があることを指摘していますが、価額が低いだけではなく、具体的な特別の事情が認められる難しさを強調しています。
特別の事情が認められるかどうかはケースバイケースであり、注意が必要です。
この事案を通じて、相続税の評価や更正請求において、評価基準の適用や特別の事情の有無が慎重に検討されることが示唆されています。
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