相続税の税率は「もらった財産×税率=相続税」ではない
相続税計算の流れは「分ける→まとめる→分ける」の繰り返しです。
以下がその具体的なステップです。
ステップ1:
財産を取得した人ごとに課税価格を計算する(分ける)
相続や遺贈、相続時精算課税制度の適用を受ける贈与で故人の財産を取得した人ごとに、課税価格を計算します。
課税価格はその人が取得した正味財産の価額を指します。
これにはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産や非課税財産、葬儀費用、直近の贈与なども含まれます。
ステップ2:
全員の課税価格を合計し、正味の遺産総額を算出する(まとめる)
取得した人ごとに計算された課税価格を合算し、正味の遺産総額を算出します。
この正味の遺産総額が後の計算において基礎控除額を下回っている場合は相続税は課税されません。
ステップ3:
課税の対象となる正味の遺産総額(課税遺産総額)を計算する(まとめる)
課税価格の合計から基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、課税遺産総額を計算します。
ステップ4:
相続人1人あたりの法定相続分の課税遺産額を計算する(分ける)
課税遺産総額を法定相続分で相続人に分けます。
法定相続分は遺産の分け方を民法が定めた親族の財産の取り分です。
ステップ5:
法定相続分に応じた仮の相続税額を計算する(分ける)
相続税率を使って、この段階で法定相続分に応じた仮の相続税額を計算します。
ただし、この相続税額は本当に納税すべき金額ではなく、法定相続分で遺産分割をした場合の相続税額の仮計算です。
ステップ6:
相続税額を全部合計する(まとめる)
ステップ5で計算した相続税額を合計します。
これは後で財産の取得分に応じて再計算するためのものです。
ステップ7:
取得した財産に応じた本当の相続税額を計算する(分ける)
最後に、それぞれが取得した相続分に応じて、本当の相続税の納税額を算出します。
「相続税の合計額×その人の課税価格/課税価格の合計額」が計算式です。
このような計算ステップを通じて、相続税の公平な納税を確保するために法定相続分というルールが一度適用され、その後で取得した財産額に応じて相続税が再計算されるのです。
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