専門職後見人による横領問題の動向
- 背景: 親族後見人に代わり、専門職の後見人(弁護士、司法書士など)の選任が増えた背景で、その一部においても横領などの不正が発生しています。
- 横領事件の発生: 専門職後見人による横領事件が増加しており、報道によると、弁護士や司法書士による横領などの不正は全国で少なくとも62件、約11億2000万円に上っているとされています。これには認知症の被後見人を対象とした事件も含まれています。
- 事例: 2015年の報道によれば、東京弁護士会の元副会長が認知症の女性の後見人を務め、報告書を提出せずに横領を行い、逮捕されたケースがありました。この事件では着服額が約4200万円に上りました。
- 後見人の組織体制の影響: 一部の横領事件は、後見人が自身の事務所を単独で運営している場合に発生していると指摘されています。小規模でチェック機能がずさんな環境では、横領のリスクが高まる可能性があります。
- 後見監督人の不足: 弁護士などの専門職には、通常は後見監督人がつくことがないが、これが横領の発見を難しくしていたとされています。専門家の信頼性が高いことが監督の申し立てを抑制していた可能性があります。
- 法定後見人の選任権の問題: 被後見人が後見人を選ぶ権利がなく、家裁が法定後見人を任命するため、被後見人やその家族には後見人を選ぶ権限がないことも問題視されています。
- 対策: 専門職後見人においても、横領防止のためにはチェック機能の強化や後見監督人の配置が重要であるとされています。また、専門職の適切な組織体制や監督が不足している場合、問題が発生しやすくなる可能性があります。
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