遺産分割に関する紛争は、通常訴訟ではなく調停や審判によって解決されます。
遺産分割は「別表第二事件」として家事事件手続法別表第二に記載されており、訴訟の提起は認められていません。
代わりに、「家事調停」または「家事審判」の手続きが利用されます。
具体的には、遺産分割協議が合意に至らない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。
調停委員が当事者間で遺産分割の方法についての合意を模索します。
全ての相続人と包括受遺者が裁判官の提示する調停案に同意すれば、調停は成立し、調停内容通りに遺産分割が行われます。
しかし、全ての相続人と包括受遺者が調停案に同意しない場合、調停は不成立となり、「遺産分割審判」へ自動的に移行します。
審判では、裁判所が公平に当事者の主張を聞き、遺産分割の方法についての結論を示します。
審判が確定すると、当事者は審判内容に拘束され、その通りに遺産分割を行わなければなりません。
遺産分割調停は相続人と包括受遺者間での合意形成を目的とし、審判は裁判所が客観的な立場から問題を解決する手続きです。
審判は柔軟な審理と判断を行うため、非公開で行われ、当事者が請求、主張していない事柄でも、審判の内容に含められることがあります。
遺産分割調停の申立ては家庭裁判所に申立書を提出し行われますが、遺産分割審判については、調停が不成立になると自動的に移行します。
このため、改めて申立てを行う必要はありません。
ただし、法律上は遺産分割審判を直接申し立てることも可能ですが、実務上は話し合いによる解決を目指すべきです。
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