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特定物納

 相続税の「特定物納」は、相続税の延納から物納への変更が認められる制度です。

 延納条件の変更が困難となった場合に、特定の要件を満たすことで相続税の物納への変更が許可されます。

 この制度では、特定の要件を満たすことが求められます。

 

 具体的な「特定物納」の要件は以下の通りです。

  • 延納を継続することが困難な金額の範囲内であること。
  • 物納申請財産が特定の順位に基づいていること。
  • 物納申請書および物納手続き関連書類を申告期限から10年以内に提出すること。
  • 物納申請財産が物納に適する財産であること。

 物納に充てることのできる財産には、順位に基づいた種類があります。

 ただし、物納不適格財産や物納劣後財産といった特定の条件を満たさない財産は物納に充てることができません。

 

「物納不適格財産」には、抵当権が設定されている不動産や境界が明らかでない土地などが含まれます。

 同様に、「物納劣後財産」には地上権や法令違反の建物、納税義務者の居住用の建物などが含まれます。

 

「物納」は相続税対策の一つとして有効な手段ですが、その申請には綿密な準備が必要です。不動産の価値を相続税評価額で評価するため、市場価格より高く評価される可能性があります。

 しかし、物納不適格財産や物納劣後財産などの制限事項により、申請は困難を伴います。

 

 そのため、相続が発生してから早い段階で物納のための準備を進めることが重要です。

 特に、申請財産の選定や関連書類の準備については慎重に行う必要があります。

 また、物納は相続人ごとに申請が可能なため、相続人の立場や資産状況を考慮して申請の可否を判断することも重要です。