相続税・贈与税の計算時の基準になる額
相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算する際の基準になる課税価格のことを指します。
相続税は、相続や遺贈によって取得した財産の課税価格から、基礎控除額を引いて算出された「課税遺産総額」を基準として計算されます。
不動産の課税価格は家屋と土地では評価の仕方が異なり、家屋の場合には固定資産税評価額を基準として評価されます。
また土地に関しては、路線価方式または倍率方式によって評価されています。
相続が発生した時点での評価額が適用される
そもそも相続財産は、相続開始日(被相続人が死亡した日)の時価を基準として評価され、相続が起きる前に計算した額は適用されません。
例えば相続が開始した時点で預金残高が5,000万円あれば、その5,000万円が相続税評価額となります。
しかし土地や宅地などの不動産の場合は計算方法が異なるので注意が必要です。
不動産の場合は、国税庁が定めた「財産評価基本通達」と呼ばれる評価方式によって時価が算出されています。
この財産評価基本通達では、土地は相続開始時点での換金価値よりも低い額が相続税評価額となります。宅地に関しては、固定資産税評価額を利用して相続税評価額を算出しています。
土地の相続税評価額の計算方法
土地の相続評価額は国税庁が定めた財産評価基本通達により時価が算出されますが、この財産評価基本通達には「路線価方式」と「倍率方式」という2つの評価方式が定められています。
ここでは、それぞれの評価方式の内容を具体的に解説します。
- 路線価方式
路線価方式とは、路線価が定められている地域における評価方法です。いわゆる市街地のような形態の宅地の相続税評価額を調べる場合には、この路線価方式が採用されます。
路線価とは、その道路に面する土地1㎡あたりの評価額であり、路線価が定められているエリアの土地はその路線価を基準にして評価額が定められます。
路線価方式の計算式は以下の通りです。
相続税評価額=路線価×各種補正率・加算率×土地面積(㎡)
土地の間口、奥行、地形等で利用しにくい土地は一定の方法により評価額が低くなり、一方で、二つの路線に面している角地などは、土地の利用価値が高くなるため評価額も高くなります。
しかし、路線価×土地面積だけでは評価額にそのことを反映できません。
そこで各種補正率・加算率が使われます。
各種補正率・加算率の調整率表は国税庁ホームページに掲載されています。
具体的には、路線価が30万円、各種補正率・加算率が1.0、土地面積が300㎡の相続税評価額は、以下のようになります。
30万円×1.0×300=9,000万円
各地域の路線価は国税庁のホームページの中にある路線価図・倍率表のページで確認することができます。
(参考元)国税庁 路線価
- 倍率方式
倍率方式とは、路線価が定められていない地域における評価方法です。
地価の格差があまりない農村部の土地や郊外の土地の相続税評価額を算出する際にこの方式が採用されます。
倍率方式で計算する際は、路線価図に「倍率地域」と記載されているエリアにおいては、この倍率方式で相続税評価額を算出します。
(参考元)国税庁 路線価
倍率方式の計算式は以下の通りとなります。
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率
具体的には、固定資産税評価額が3,000万円、倍率が1.5倍の相続税評価額は以下の通りとなります。
3,000万円×1.5=4,500万円
なお、固定資産税評価額は、毎年送られてくる固定資産税納付通知書の中の「課税明細書」に記載されているので確認しましょう。
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