贈与税は、個人からお金や不動産、株式などの財産をもらったときに課される税金で、相続以外の場面で発生します。
贈与税の制度には「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つがあります。
以下に、贈与税のかかるものとかからないもの、そしてそれぞれの制度について説明します。
贈与税がかかるもの:
贈与税がかかるものは、主に次の2つです。
1-1. 生きている個人が生きている個人からもらった財産:
このタイプの贈与は、民法に基づく契約として成立します。
つまり、贈与行為には以下の3つの要素が必要です。
- あげる側だけが財産を与える責任を負い、もらう側には責任がないこと。
- お互いに「あげます」「もらいます」という意思表示をし、贈与に合意していること。
- 無償で財産をあげること。
1-2. 税法上のみなし贈与財産:
この種類の贈与は、税法に独自に定められており、民法には規定がありません。
以下のような場合にみなし贈与として課税されます。
- 夫婦で共同で借りた住宅ローンを半分ずつ返済した場合。
- 夫婦で折半して購入したマンションを妻名義にした場合。
- 借金が帳消しになった場合。
- 親が子供のために税金を肩代わりしてくれた場合。
- 父親が保険料を負担してくれて、生命保険の満期金を受け取った場合。
贈与税がかからないもの:
贈与税がかからないものもあります。具体的なケースは以下の通りです。
2-1. 扶養家族のための生活費や教育費:
親子や夫婦などの扶養家族に渡す生活費や教育費には贈与税がかかりません。
ただし、あまりにも多額な場合は課税の対象になることがあります。
2-2. 礼儀としてのお金や贈り物:
香典、花輪代、お歳暮、お中元、お年玉、お見舞いなどの社会的な礼儀として渡されるお金や物には贈与税がかかりません。
ただし、極端に多額の場合は課税されることがあります。
2-3. 財産の持ち主が亡くなった年に贈与された財産:
贈与者が亡くなる前年に贈与された財産は、相続税として課税されません。
ただし、贈与と相続が同じ年に発生した場合、贈与税の申告が必要です。
2-4. 特定の目的に使うための資金:
教育資金や住宅購入、結婚、子育てなどの特定の目的のために贈与される資金は、贈与税の非課税措置の対象となります。
ただし、法律で決められた条件を満たし、適切な手続きを行う必要があります。
贈与税の制度:
贈与税には2つの制度があります。
3-1. 暦年課税制度:
暦年課税制度は、1年間に受け取った贈与の合計が110万円以下であれば贈与税がかからず、110万円を超える場合に課税されます。
贈与税率は、贈与者と受取人の関係によって異なります。
3-2. 相続時精算課税制度:
相続時精算課税制度は、2500万円までの贈与は非課税で、それを超える部分については一律20%の税率が適用されます。
この制度を利用するには、贈与を受けた側が贈与時から翌年3月15日までに選択届出書を提出する必要があります。
贈与財産の価額評価:
贈与税の計算において、贈与財産の価額は贈与時の時価を基準とします。
しかし、評価が難しい資産もあるため、相続税法の規定に従って評価されることが一般的です。
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